地震時でも「避難所に入らず我が家で住み続ける」には?

微動ラボ

地震時でも「避難所に入らず我が家で住み続ける」には?

横山 芳春 博士(理学)
当法人理事 事務局長 (平野の地質と地形、地盤災害の専門家)

「避難所に入らず我が家で住み続けられる」家とは?

 昨今より猛威を振るっている新型コロナウイルス。はじめに、感染被害に遭われた方のご回復、新型コロナウイルスの早期終息を心よりお祈り申し上げます。現在、厚生労働省などは密集、密着、密閉の「三密」で感染が拡大することを受けて、これを避けることを呼びかけています。このような状況下で大きな地震等が発生すると、避難所が開設され多くの人が集まって、気温の冷える夜間を中心に「三密」の空間ができてしまいます。すると、クラスター感染のリスクが高まり、爆発的感染拡大が懸念される温床となってしまうことが懸念されます。

 このような事態を避けるためには、例えばいつ発生するかわからない地震には、地震があっても家屋が倒壊しないための対策として、事前の備えが必要です。十分な対策を行い、大地震でも倒壊、大破することなく住み続けることができれば、慣れない避難所に入ったり、また車中泊でエコノミークラス症候群になるなど、健康上の被害を受ける可能性も少なくなります。

 戸建て住宅の性能には、次の3つの内容が重要となります。

1.立地・・・・その場所が地震でゆれやすい地盤かなど
2.初期性能・・住宅の耐震性など、住宅を建てる時の強さ
3.性能維持・・適切なメンテナンスによる初期性能の維持

 立地、初期性能、性能維持のポイントと、それぞれを良くするためにはどうすればよいか?これから家を建てる人、既に住んでいる家ではどうすればよいか、解説していきます。

住宅の立地とは?

 住宅の立地は、どの路線の沿線か、駅や商業施設から徒歩何分か、どの学区かという点も大事ですが、地盤からみた立地も住宅の性能のうえでは非常に大事になります。さらに、インテリアや水回り、外壁などは後からでもリフォームや、場合によっては建て替えて一新することもできますが、立地は後から変えることができません。過去の地震では、2016年の熊本地震や2018年の北海道胆振東部地震などの被災地を調査してみると、「数軒離れただけ、または道路1本を挟んで被害の状況が大きく違う」ということを数多く見てきました。場所によっては、新築や築浅の住宅でも大きな被害を受けている住宅もみられました。

 

   

 

 

 

 

 これは、住宅のつくりに原因があることもありますが、造成された分譲地などの住宅街では一見すると同じように見えても、地下の地盤が道路を挟んで違っていることが影響していることがあります。地震があった時の地盤の揺れやすさが違ってくるために起きたことです。ある地震があって、ゆれにくい地盤の敷地では震度5強だったのに、ゆれやすい地盤の敷地では震度6強や震度7にゆれが大きくなってしまう、という現象があるためです。地盤のゆれやすさを調べるには、地域の地盤であれば、防災科学技術研究所が公開しているJ-SHIS 地震ハザードステーションを確認すると良いですが、評価は250m×250mという家数百件分の範囲で評価しているので、「道路を挟んで」評価するという精度はありません。また、家を建てる時には地盤調査は行われていますが、これは「地盤に家を建てて沈んで傾かないか」を調べる調査で、地震の時の地盤の揺れやすさについてはわかりませんでした。


 微動探査では上の写真のような機械を使用し、調査地ピンポイントでの地震時のその土地の揺れやすさを調べます。 1調査で45分~60分程度お時間を頂きます。計測中は音もホコリもたてず、地面に穴を空ける事もしません。また、調査地がアスファルトでもコンクリート上でも調査は可能ですし、既にお家が建っている場所であっても、そのそばにて調査する事が可能です。調査において屋内に上がらせて頂く事はございません。得られたデータはすぐに防災科学技術研究所に送られて地盤の構造などが解析され、約1週間ほどで地盤に相応しい立て方(初期性能、性能維持で重要な耐震性やダンパーのお勧めなど)のアドバイスの書かれた、下の写真のようなレポートをお届けいたします。

住宅の初期性能とは

 住宅の初期性能は、新たに住宅を建てる時の耐震性や省エネルギーなどに関する性能です。地震に対する判断基準としては「耐震等級」があります。1995年の阪神淡路大震災などによる住宅の被害を受けて、2000年に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」による住宅性能表示です。耐震等級は1~3の3等級があります。耐震等級1は、建築基準法に定められた基準と同等です。耐震等級2はその1.25倍、耐震等級3は1.5倍の強さを持っています。
 2回の震度7を記録した熊本地震では、2000年6月以降に建てられた住宅でも、耐震等級1、2の住宅では倒壊、全壊(大破)した住宅がありましたが、耐震等級3の住宅は小破(半壊・一部損壊)にとどまり、「大地震があっても住み続けられる」ことがわかっています。震源地に近い熊本県益城町では、地震後の調査で戸建て住宅が揺れやすい地盤からなる地域が見つかったり、比較的地盤が良いとされる丘の上でも揺れやすい地盤の地域がありました。事前に微動探査を行っておくと宅地ごとの地盤の揺れやすさなどがわかり、望ましい耐震等級や、制振ダンパーなどが必要かなど、地震に対して求められる初期性能(耐震性)がわかります。

             出典:一般社団法人 くまもと型住宅生産者連合会「耐震等級3のすすめ」

 

住宅の性能維持

 住宅は、新築時から経年劣化、また地震動や雨などによって初期の性能が劣化していきます。初期性能を維持していくには、適切な点検やメンテナンスが必要となります。とくに、地震に対して耐える性能といえる「耐震性」を維持していくためには「制振ダンパー」が有効です。いくら初期性能として耐震性の高い住宅を建てても、大きな地震を受けると住宅のねじや釘などの接合部分が痛んでいき、だんだん耐震性能が失われていくことがあります。揺れを抑える効果のある制振ダンパーは、速度、道路状況、コーナーの曲がり具合によって生まれる衝撃(揺れ)を吸収する、自動車のショックアブソーバーのような役割を果たします。地震時の小さな揺れから大きな揺れまであらゆる揺れから住宅を守る盾となり、地震による劣化を遅らせる働きをします。

 

一方で、すでに建てられている既存住宅の場合は、特に1981年6月以前に建てられた「旧耐震基準」、次に「新耐震基準」でも1981年6月~2000年6月に建てられた住宅は初期性能が低い、もしくは劣化が進んでいる可能性もあります。特に立地が揺れやすい地盤の場合には、微動探査を行って地盤の揺れやすさの特性を調べることが望ましいです。とくに「キラーパルス」と呼ばれる既存住宅が揺れやすい地震の波で「共振」しやすい地盤では、阪神淡路大震災でみられたような大きな被害がみられることがあります。この対策として、地震時に倒壊しないような耐震性のある壁の補強や、制振ダンパーの中でも壁としての耐震性能を高めるものを設置して、耐震性を向上させることが考えられます。

 

住宅の立地・初期性能・性能維持に役立つ微動探査・制振ダンパー

 微動探査制振ダンパー、もしくはその両方にご興味のお持ちの方は以下のお問い合わせフォームよりお問い合わせ下さい。当協会事務局、またはお近くの会員企業よりご連絡させて頂きます。もっと詳しい話が知りたい、具体的な導入について検討したいなど、工務店、リフォーム会社などの方、また既に住宅にお住まいの方や土地探し、住宅づくりを検討されている方からのお問い合わせをお待ちしております。

 冒頭に申し上げました通り、現状、不要不急の外出を制限するよう自治体から要請も出ており、日常の外出もしづらい状況にあります。一方で、大規模な地震が数年の間に何度も起こっており、いつ大地震が来るか分からない状況でもあります。微動探査を行い、今お住まいになられている住宅の地盤の現状を知り、その対策を取って頂く事で、少しでも家屋被害の軽減に繋がる事を願っており、そのようなきっかけになれば幸いです。

 

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