地盤の「ゆれやすさ」を調べるには?

微動ラボ

地盤の「ゆれやすさ」を調べるには?

横山 芳春 博士(理学)
当法人理事 事務局長 (平野の地質と地形、地盤災害の専門家)

地盤の「ゆれやすさ」を調べるには?

 地震が起こった際、その場所の「地盤」によって、地震のゆれの大きさは異なります。過去の地震発生時、例えば2016年の熊本地震や2018年の北海道胆振東部地震などの被災地を調査してみると、「数軒離れただけ、または道路1本を挟んで家屋被害の状況が大きく違う」ということを数多く見てきました。場所によっては、新築や築浅の住宅でも大きな被害を受けている住宅もみられました。

 このようなゆれの違いは、住宅のつくりに原因があることもありますが、住宅が建っている地盤の影響を受けていることがあります。造成された分譲地などの住宅街では、街並みを見ると同じように見えても、地下の地盤が道路を挟んで違っていることがあります。地震があった時の地盤のゆれやすさが違ってくるために起きたことです。ある地震が起きたときに、ゆれにくい地盤の敷地では震度5強だったのに、ゆれやすい地盤の敷地では震度6強や震度7にゆれが大きくなってしまう、という現象があるためです。

ゆれやすさの調べ方

 地盤のゆれやすさを調べるには、防災科学技術研究所が公開しているJ-SHIS 地震ハザードステーションというサイトから、地域のおよその傾向を確認することができます。

J-SHIS地震ハザードステーションでゆれやすさを調べるには? (PCの場合)

1)J-SHIS 地震ハザードステーションを開く

2)「スタート」ボタンを押してJ-SHISマップを開く


3)J-SHISマップから「表層地盤」タブをクリック

4)左上の「地名」で住所を検索するか、地図をスクロールして調べたい場所を探します。

5)地図上の調べたい場所をダブルクリックすると、左側に「地点情報-表層地盤」という窓が出ますので、一番下の行にある「地盤増幅率(Vs=400~地表)」の数値を確認します。



 この「地盤増幅率」が、地震時の地盤のゆれやすさの目安です。数値が低いとゆれにくく、大きいほどゆれやすいことを示しています。地盤増幅率1.0以下ではゆれが小さくなる、硬い良い地盤です。地盤増幅率の1.0と2.0では、地震のゆれの大きさが2倍に大きくなります。山側ほど数値が低く揺れにくく、川沿いの低地や埋立地では高い傾向があります。

 ただし、現実の地盤は下の図のように同じ地形=同じ地盤増幅率の数値ではなく、様々なゆれやすさの地盤が入り乱れるようになっていることもあるため、実際には地盤の状況によって倍以上ゆれやすいことも、半分程度のゆれやすさであることもあります。


 下の表のとおり、増幅率はA~Eの5つのランクに分かれています。ランクA(地盤増幅率1.0以下)はゆれが小さくなる、非常に良い地盤です。いっぽうで、ランクD(地盤増幅率1.6以上)の場所は、ゆれやすい地盤といえます。ランクE(地盤増幅率2.0以上)の場所は特に注意が必要です。 関東、大阪、濃尾平野などでは、1.6以上のゆれやすい地盤の地域は海ぞいの埋めたて地や、川沿いの低地を中心に広く広がっています。

 ただし、J-SHISの評価は、地域ごとに250m×250mという家数百件分の範囲(メッシュ)で評価しています。250m×250mという範囲の中には、場所によっては山あり谷あり、様々な条件の地盤の場所が含まれていることがあり、「道路を挟んで」評価するという精度はなく、「その地域の目安」としてお考え下さい。 また、「埋立地なので地盤増幅率がいくつ」と、地形によって地盤増幅率が分けられたもので、必ずしも全地点で実際の計測結果があるものではありません。

※下図のように『カルテ』というボタンをクリックしていただくと、そのエリアのより詳しい情報がご覧いただけます。「30年以内に震度6強以上となる確率」なども調べることができます。地震が起きる確率が高く、ゆれやすい地域は地震に対する警戒が特に必要な地域と考えます。一方で、熊本地震などは「30年以内に活断層の動く確率」が0~0.9%とされていましたが地震は発生し、確率が低い=地震が来ない、というわけではありませんので、日本全国地震に対する備えは怠れません。

個別の住宅の地盤のゆれやすさを調べるには?

 J-SHIS地震ハザードステーションによる地盤のゆれやすさの評価は、目安として考える時には非常に便利ですが、宅地ごとの地盤を評価するような精度はありません、それでは、宅地ごとの揺れやすさを調べるにはどうすればいいのでしょうか。現在では家を建てる時には地盤調査が行われていますが、これは「地盤に家を建てて沈んで傾かないか」を調べる調査で、地震の時の地盤のゆれやすさについてはわかりませんでした。そこで、個別の宅地で「地盤のゆれやすさ」を調べることができる「微動探査」という手法が生まれ、全国に広がっていきました。。 

 微動探査という地盤調査では、「宅地ごとの地盤のゆれやすさ」を調べることができます。上の写真のような機械を使用し、調査地ピンポイントでの地震時のその土地のゆれやすさを調べます。 1調査で45分~60分程度お時間を頂きます。計測中は音もホコリもたてず、地面に穴を空ける事もしません。また、地面が土ではなくアスファルトでもコンクリート上でも調査は可能ですし、既にお家が建っている場所であっても庭やガレージなどで調査する事が可能です。調査において屋内に上がらせて頂く事はございません。

 得られたデータはすぐに防災科学技術研究所に送られて地盤の構造などが解析され、約1週間ほどで地盤に相応しい立て方(初期性能、性能維持で重要な耐震性やダンパーのお勧めなど)のアドバイスの書かれた、下の写真のようなレポートをお届けいたします。

全国の微動探査ネットワーク

 微動探査のネットワークは、現在北海道から九州の各地の地域微動探査協会の会員企業を通じて広がっております。現在、不要不急の外出を制限するよう自治体から要請も出ており、日常の外出もしづらい状況にある一方で、大規模な地震が数年の間に何度も起こっており、いつ大地震が来るか分からない状況でもあります。3密の空間となる避難所の感染リスクは高く、安心・安全な自宅が地震で倒壊することなく、住み続けられることが理想はないでしょうか。

 微動探査を行い、今お住まいになられている住宅の地盤の現状を知り、その対策を取って頂く事で、少しでも家屋被害の軽減に繋がる事を願っており、そのようなきっかけになれば幸いです。

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